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人生に迷ったら「桐島、部活やめるってよ」が良い処方箋

名作映画「桐島、部活やめるってよ」を見ると人生の迷いが少し解消されます。

映画評論家の町山智浩さんの解説を聴くと、さらに10倍位楽しめます。

今回は、そんな町山さんの解説から一部抜粋します。

 

「桐島、部活やめるってよ」は普遍的な話

まず、町山さんの紹介動画をぜひ見てほしいです。

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概要は以下の通り

  • 「桐島、部活やめるってよ」は原作が朝井りょうの小説
  • 桐島というバレー部のキャプテンで、すごく人気があって、なんでもできる学校のヒーロー、高校の中心だった男が突然部活をやめることになる
  • しかも学校に来ない。それで生徒たちが中心となる桐島を失ったために起こすパニックを描く
  • 高校生の青春を描きながらも、テーマとしては「生きるとはなにか」という普遍的な作品になっている

 

なぜ生きるのか

「何故生きるのか」という問題に悩むのが、主人公「ひろき」です。

思想的な主人公っていうのはひろきくんなんですね

ひろきくんというのはなんでもできる人ってなっているんですけども、なんでもできる人が楽しいのかっていうと全然楽しくないんですね。

自分は何をしたらいいのだろうかって悩み始めていると。

それで野球部のエースっていうか期待されてた男なのにもかかわらず、野球部を辞めてしまっていると

勉強もできるみたいなんですけど、それははっきり描かれないんですけど、たぶんできるんですね。

女の子からもモテモテで彼女もいると。

でも楽しくないんですね。何をしたらいいかわからないんですね。

お前これからどうするんだと、どうやって生きていくんだと、お前一体何になるんだということを問われてしまった時に、ひろきくんはわからなくなっちゃったというところからこの映画が始まる

これはなんのために生きているか、生きていく意味がわからなくなった人の話ですよってことですね。

ひろきくんを通してそれを考えてみてくださいっていう話になっています。

満たされようが満たされまいが、生きる意味に迷ってしまいます。

なんのために生きているか。

 

生きる意味を突き詰めると、実存主義が始まる

ひろきくんは、生きる意味を見失ってしまいます。

ひろきくんが意味を見失ってしまった

何のために部活やっているんだ、何のために野球やっているんだ、野球選手なるわけじゃないじゃん、野球で大学行くわけじゃないじゃん。

もっと突き詰めると何で大学行くの?

何で会社入るの?何で社会で働くの?何でお金もうけなきゃいけないの?

何で子供作らなきゃいけないの?何で結婚しなきゃいけないの?

何でそんな恋愛したいの?俺恋愛してるけど全然楽しくないよ、なんのために生きてるの?

全然楽しくねえよ!ってことですね。

ひろきくんがぶつかっている問題っていうのは。

だって人間どうせ死んじゃうんですよ、何をしたって。

何の意味があるんだっていう根本的な問題にぶつかったんですよ、ひろきくんは。

ほんとに悩みだしたら意味なんてないんじゃないのってことが実存主義っていう哲学ですね。 

なんのために生きるのかを考えると、確かに「全てに意味はない」という結論になりそう。 実存主義です。

 

どんなに頑張ったって死ぬのになんの意味があるのか

どんなに頑張って死ぬ現実。どう生きるべきでしょうか?

 

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「どうせ私たちは負けてしまうのに、負けるってわかっているのに何で頑張っているのかしら」っていうセリフが出てきますけども、あれはまさに人生そのものですね。

どうせどんなに頑張ったって、どんなに金持ちになったって、どうせ死ぬんですよね。

で、何もかも消えてなくなるんだったら、何のために生きてるんだろうってことにも聞こえてきてしまうんですね。

ひろきくんっていうのはそこまで、おそらくは考えてしまっているか、考えることを象徴しているんですね。

つまり、金持ちになって、大金持ちになって、すごく最高な暮らしをして、じゃあそれに何の意味があるのか、どうせ死んじゃうじゃないか、ってとこまで考えさせる映画なんですね。

何でもできる主人公「ひろきくん」は生きる意味を見失います。

 

「なぜ生きるのか」という問いへの答えを持つ人①「信仰者」

ひろきくんは生きる意味を持つ人と出会います。

野球部のキャプテンはこう言いますよね。

何でいつまでも引退しないのって聞かれて、「いや、ドラフトが来るまではね。ドラフトが来るまでは頑張るよ」

つまりこのキャプテンっていうのは、来るわけもないドラフトっていうのを待ち続けて、それのために生きているんですね。

これは神を信じている人ですね、いわばね。

来るわけもない神様を信じている人ですね。彼は信仰者ですね、一種のね。

キャプテンは信仰者を象徴してるんですよ。絶対に来ないものを、来るわけのないものを待って、それで生きていける人ですね。

確かに信仰に確信を持てたら「なぜ生きるのか」という疑問への回答は与えられそう。宗教というのはそういう機能(死からの意識をそらす)がありますよね。

 

「なぜ生きるのか」という問いへの答えを持つ人②「やりたいことがわかっている」

主人公ひろき以外に、前田くんというキャラクタが登場します。彼は失恋して、好きな映画も周囲に理解されない、映画の中では「負け組」として描かれます。そんな前田くんに主人公のひろきがインタビューするシーンがラストにあります。

あのインタビューはふざけているようで、本当のことを聞いていますね。つまり何で映画とってるの?映画監督になりたいの?女優と結婚したいの?アカデミー賞が欲しいの?って聞きますよね。

あれは何を聞いてるのかというと、結果はどうなの?と、君たちが求めている結果は?目的は?目標は?意味は?って聞いてるんですね、前田くんに。

そしたら前田くんは照れながらですね、いやー、映画撮っていると、好きな映画とつながっているような気がして、としか答えないんですね。

あれは、意味とか、結果とか、目標とか考えたことなくて、俺好きでやってるんだけど。って言ってるんですね。

ひろきくんは全てにおいて完璧で勝利者だったんですね。なんでも出来た。ただたった一つ持っていなかった。それは意味だったんですね、目的だったんですね。

で、それで前田くんはですね、意味とか関係ないし、やりたいことがあるからやってるんだしと答える所で、前田は勝ったんですね。

 全てを持っているひろきに前田は勝ったんですよ。勝った瞬間ですね、あれね。

好きなことやってるやつは勝ちなんですよ。それで上手くいかなくたって別にいいんだもん、好きなことやってるんだから。

それで上手くいきゃないけど、なんか結果がなきゃ、なんか意味がなきゃと思っているから、勝ち負けって言うことがそこに出てくるんですね。

人生に意味を見つけた者が勝つ。好きなことをやっているやつが勝つ。

しびれます。

 

つまり自分自身の中にある自分自身の一番深いところ、自分自身の本当にやりたい本質的なもの、本質っていうのはないんですから、好きな事がないってことなんですね、

逆にいうとね。さらに、意味のない牢獄のような人生から突き抜けて、向こう側に行けるんじゃないかと、向こう側っていうのは、自分自身にたどり着くってことですね。

実は全ての物語っていうのは自分自身にたどり着くまでの話なんですね、哲学にしても、小説にしても、全ての物語は自分自身に帰ってくる、自分自身が見えなくなっちゃった、自分自身が見えない、自分自身に帰れっていう話なんですね、それを探すんだという話になっているんだと。

映画を含めた物語の作用というのは「自分自身にたどり着くまでの話」という断言。

そうか、それが見たくて映画を見ているのかもしれない。

 

ってことで、映画「桐島、部活やめるってよ」と町山さんの解説おすすめです。

めちゃくちゃ仕事と人生で悩んでいたときに聞けてよかった。

桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ