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瀧本哲史『戦略がすべて』書評感想。RPGの武道家が後半で解雇される理由

瀧本哲史さんの『戦略がすべて』の書評・感想です。

賢い人が見る、資本主義社会の「ゲームのルール」に関するコラム集…という感じ。

それぞれのコラムは切り口は鋭いのですが、文字数の関係か、洞察はそこまで多くは書かれていません。

そのため、

  • 一つ一つが時事ネタなので具体的で読みやすい
  • ビジネスの「大本の戦略」という観点を持っていない人向けの入門書として良い

でしょう。

 

以下の目次の「煽り文句」にピンときた方は読んでみても良いかも。

  • I ヒットコンテンツには「仕掛け」がある
  • II 労働市場でバカは「評価」されない
  • III「革新」なきプロジェクトは報われない
  • IV.情報に潜む「企み」を見抜け
  • V 人間の「価値」は教育で決まる
  • VI 政治は社会を動かす「ゲーム」だ
  • VII 「戦略」を持てない日本人のために

 

瀧本哲史とは?輝かしい経歴

瀧本哲史とは誰か?輝かしい経歴をまとめました

  • 東京大学法学部を卒業
  • マッキンゼー&カンパニー入社
  • エンジェル投資家として活躍
  • 京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授

「僕は君たちに武器を配りたい」という本も有名です。

 

『戦略がすべて』の書評・感想

『戦略がすべて』の書評・感想・レビューです。

 

『戦略がすべて』の概要と元ネタ

『戦略がすべて』の概要は以下の通り。

この資本主義社会を「攻略」せよ。
ベストセラー『僕は君たちに武器を配りたい』著者が導く24の「必勝パターン」

ビジネス市場、芸能界、労働市場、教育現場、国家事業、ネット社会……
どの世界にも各々の「ルール」があり、成功の「方程式」が存在する。
ムダな努力を重ねて肩を落とす前に、「戦略」を手に入れて世界をコントロールする側に立て。
『僕は君たちに武器を配りたい』がベストセラーとなった稀代の戦略家が、
AKB48からオリンピック、就職活動、地方創生、炎上商法まで社会の諸問題を緻密に分析。
日本人が取るべき選択を示唆した現在社会の「勝者の書」。

24あるコラムごとに「方程式」という形式です。

それぞれ、「戦略が全て」という題材通り、どんな戦略でビジネスが回っているかという話

 

『戦略がすべて』の元ネタ

元々は、以下の媒体で掲載していた内容を一冊の本に再編集したようです。

  • 『日経プレミアPLUS』の「瀧本哲史の時事評論」
  • 『新潮45』の「逆張り(コントラリアン)日本論」

 

そのため、各論はなかなか面白いのですが「もう少し読みたい…」というところで、話が終わってしまうのが残念。

 

『戦略がすべて』の面白い所3箇所まとめ

『戦略がすべて』の面白かったところを3箇所まとめました。

 

RPGの武道家は後半解雇されるのは資本主義にありがちなこと

RPGのキャラクタは、戦士、武道家、魔法使いなど様々な職に付き、複数人でパーティーを組みます。

これは資本主義における、会社組織と同じ構造です。

そして、RPGの後半で「キャリアシステム」によって転職をしたメンバーは強くなるように、資本主義でも「複数のスキル」を持っている者が強いです。

例えば、武道家は、後半パラディン(回復魔法が使える)などに転職できます。

しかし、武道家のままでいると、パーティー内では使いづらく、解雇されがちです。

資本主義の中で、会社組織に評価される際も、「武道家」として突き詰めた後「パラディン」になる道を選ばないと、「一定の敵レベルと戦うパーティー」に居続けることになります。

 

AKBはプラットフォームを売るという商売だ

AKBは実は、「AKB48」という「プラットフォーム」を売る商売だ…という話。

タレントを個別に作って売り出すのではなく、複数のタレントを包括する『システム』、すなわち『プラットフォーム』を作り、そのシステムごとまとめて売ろうというものである

プラットフォームの関係者には以下の3者が存在する。

  • 顧客
  • プラットフォームのプレイヤー(運営者)
  • プラットフォームの参加者

 

AKBの場合は

  • 顧客 = ファン
  • プレイヤー = 秋元康たち
  • 参加者 = メンバーの所属事務所やレコード会社

という構図。

AKB48メンバーはそれぞれ別の大手プロダクションに所属し、AKB活動のときだけ、プロジェクトメンバーとして派遣されています。

そのため、メンバーは入れ替え可能ですし、チームとしては「リスク」「コスト」を負う必要がなくなります。

多人数の中で、才能があり顧客獲得に成功したプレイヤーだけが、「選抜メンバー」に選ばれる…という仕組みですね。

才能勝負の世界では、こうやって数を集めて、残ったもので戦うというのが非情に合理的です。

 

ちなみに裏側で、秋元康らは、

「集客 → ビジネスモデルの提携 → プラットフォーム管理」

という事業を行っています。

 

漫画の映画化においては「原作」はコモディティだ

「漫画の映画化においては「原作」はコモディティだ」というお話が面白かったです。

まず日本における、漫画原作と映画に関するパワーバランスは以下の通り。

  • 邦画の興行成績と原作の人気はリンクしていない
  • タレントの選択、映画用の脚本作り、広告宣伝、ドラマタイアップなどの「映画会社、テレビ会社」の所有資本が人気を左右する
  • 作品が有名なら映画は必ずヒットするとは限らない
  • それゆえ、原作を無視した、ドラマ化、映画化が横行する

 

つまり、乱暴に言えば、制作側にとっては漫画原作は「ある程度以上面白かったり、人気がある」ものなら、どれでもいいのです。

人気を出すためには自社の資本をどれだけ投入できるかという勝負ですし、水物商売なので何が当たるかは究極的にはわからない。

また、当たった際のリターンは大きいですが、外れた際のリスクは大きい。

それを担うのは、制作側(映画会社、テレビ局)です。

 

簡単に言うと、

  • 制作側:ハイリスク・ハイリターン。選ぶ側。映画のヒットに大きく関わる
  • 原作者:ノーリスク・ローリターン。選ばれる側。映画のヒットに大きくは関わらない

なのだと作者は述べます。

それ故に、映画原作の「原作料」が低いのは合理的である…と。

 

『戦略がすべて』まとめ

『戦略がすべて』のまとめとしては

  • 切り口と話題が面白いコラムだった
  • 戦略、ビジネスモデルなど資本主義について一段抽象化した考えを学べる

ということで、気軽に「新たなモノの見方」を練習するには良い本だと思います。

 

ちなみに万人に通じないですが、ドラクエ世代の話題に響いたのは以下の話。

ゲームに組み込まれた資本主義ルールを無意識に内面化させている人は、実際の資本主義ゲームにおいても、良いパフォーマンスをあげられる可能性が高い。逆に、無意味にレベルあげに熱中する人は、企業目標を無視して、自分のスタイルを追求する可能性があり、一スタッフとしては使いみちもあろうが、大きな意思決定をする立場には不適格である。

例えると、ドラクエ風に言うと船が手に入った後に、近くの道を進んでいかずに、ザハンという街に行って「きんのカギ」を手に入れることで、冒険の難易度をぐんと下げる…という話です。

 

世界全体を俯瞰してみて、「きんのカギ」を見つけるものが、効率的に早くクリアできる。

資本主義も同様です。

ビジネスのゲーム全体像を俯瞰してみて、ショートカットを見つけるものが早くクリアできる(=良いパフォーマンスをあげられます)。

アルパカ

今度、ゲームをやるときには、資本主義ゲームのつもりでやってみようかなと思いました。

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