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内田樹「常識的で何か問題でも?反文学的時代のマインドセット」感想書評

内田樹さんの書籍「常識的で何か問題でも?反文学的時代のマインドセット」の感想・書評・レビューです。

養老孟司先生から「託された」仕事の集大成としてのライフワーク…という帯のあおりのように、

  • 養老孟司的な考え方が気になる人
  • 常識、非常識などの社会ルールとの付き合い方が気になる人

そして、本書の肝である「どうして良いかわからないときに、どうしていいかわかる」能力が欲しい人は是非読んでみてください。

 

常識的で何か問題でも?反文学的時代のマインドセットの内容紹介

常識的で何か問題でも?反文学的時代のマインドセットの内容紹介です。

常識的で何か問題でも?のあらすじ

常識的で何か問題でも?のあらすじはこちら。

政治も役所も企業も学校も誰も責任を取る気配がない日本社会。
「事件」が起きるインターバルはなぜこんなに短いのか?
「じっくり時間をかけて適否や意義を吟味する」という習慣が
私たちの社会から失われつつあると著者のウチダ先生は憂えます。

私は、「どうして良いかわからないときに、どうしていいかわかる」能力を学ぶための一冊だと捉えました。

 

常識的で何か問題でも?の目次

常識的で何か問題でも?の目次です。

  • 【第1章】危機的時代の判断力とサバイバル力
  • 【第2章】真の知的成熟とは何か
  • 【第3章】「属国」日本とアメリカ
  • 【第4章】地方と経済効果とお金の話
  • 【第5章】国民国家はどこへ行くか
  • 【第6章】情理を尽くさない政治に未来はあるか

見て分かるように、政治とか社会の話が多めです。

大事なのは、未来予測よりも、内田樹という個人の思考のパラダイムを楽しむ(あるいは学ぶ)ことです。

 

常識的で何か問題でも?の感想・書評・レビュー

常識的で何か問題でも?の感想・書評・レビューです。

個人的に面白かったところをピックアップして紹介し、コメントしていきます。

ちなみに私の立場を先に申し上げますと

  • 内田先生の本は新書を中心に10冊位読む程度には好き
  • ただし、全面的に主張・思想に同意しているわけではない
  • 考え方、発想、着眼点などが好き
  • 文章のうまさも参考になる

と思っています。ご了承をば。

 

大学教授であり、武道家であり、道場の経営者である内田樹

元は大学教授であり、現在は武道家である内田樹さん。

現在は「道場の経営(生徒からの月謝)」で生計を立てているそうです。

以前から言っていた小さなコミュニティを作って生きていくことを実践しています。

この辺は、大きな組織に属して、月謝をもらうとは異なる、最近流行りの生き方のひとつですね。

お笑い芸人のキングコング西野さんや、ホリエモンなど「コミュニティビジネス」をして生きている人も、徐々に増えています。

 

武道家という立場

武道家という立場、その考え方が面白いです。

  • 筆禍にあって物書きとしての発言機会を失っても、明日からのご飯の心配は不要
  • 思いつく限りのリスクについて予防措置を講じておくのは基本的な心構え
  • 講じた措置がムダになるのは「いいこと」

無駄になることを忌み嫌い、失敗を想定しないのは日本の病だと内田先生は切ります。

敗北主義、つまり、「敗北を考えているから敗北するのだ」という論に騙されそうになった時には注意ですね。

 

悪は身体を欠いた幻想に培養される

悪とはなにか?身体の欠如だという内田先生の慧眼です。

以下、引用します。

生身の身体が求めてるものは手触りのよい衣服や心地よい声や風通しのよい空間や美味の愉悦など、五感の身体的感動である。

預金通帳の残高を見たり、自分にひれ伏す人間の頭数を数えたり、無用の奢侈のために巨富を蕩尽したりすることに強烈な快楽を覚える人も世の中にはいるが、それは身体的経験ではない。脳内に宿る幻想である。

「悪」は総じてそのような身体を欠いた幻想に培養されると私は思っている。

自分のものであれ、他者のものであれ、生身の身体への気づかいを優先させる人間は、戦争を始めたり、宗教やイデオロギーに目を血走らせたりはしない。

身体には節度があるが、幻想には節度がない。

情報に囲まれた日々の中で「身体性を忘れた思考」に陥りがちな自分としては、身が引き締まる名文でした。

 

災害時、非常時の正常性バイアスについてのお話

災害時、非常時の正常性バイアスについての話も興味深かったです。

私自身、北海道札幌市で胆振東部地震に遭遇した時、内田本を何冊も読んできた成果もあってか、「非常時モード」にある種自覚的になれました。

アルパカタログデフォルトアイキャッチ画像北海道胆振東部地震の体験記@札幌。初めて被災しました。

 

本書では、非日常を描くリアリティあるエピソードが紹介されています。

列の横を坂道をくだって歩くサラリーマンがいた。コートを着て、かばんを下げて、バスが来ないので、少し速足で歩いていた。

その時、坂を上ってきた軽トラックが停車して、そのサラリーマンに向かって「行っても、駅ないよ」と伝えているのが聞こえた。

何があったのか知るためにバイクで駅まで下りてみた。芦屋駅は屋根が崩壊し、駅の南北ではビルが倒壊して道路を塞いでいた。超現実的な風景だった。

こんな時でも、日常は続いている、と思いこんでしまうのが人間の性ということ。

自覚的に、その思考の癖は取り除く必要があると、先人の知恵から学べます。

 

経営者のただひとつの仕事

自身でも会社経営をしたことがある内田樹さんが語る「経営者の唯一の仕事」です。

それは「自分たちのアジェンダを現場に周知徹底させ、それを実現すること」だとか。

 

その前段となる部分の痛烈な批判の「ぐうの音も出ない」感じが面白い。

経営の失敗について責任を取らされたくない、達成目標に届かなくて叱責されたくない、納期に遅れて取引先に頭を下げたくない

そういう人間的感情なら私にも理解できる。だが、その「目先の嫌なこと」を回避するために嘘や手抜きを積み重ねることが将来どれほどのリスクを招来するかについて予測が立たないというのは、感情の問題ではなくて、知性の問題である。

そのくらいの頭が働かない人間は会社経営には向いていない

知性の問題と言い切る切れ味の良さ。

 

他の人が出来ることを、他の人よりもうまくできること

私個人の一番の決意としては、「格付けシステムへの偏愛」に気をつけよう、と思いました。

「他の人が出来ることを、他の人よりもうまくできる」という方向にはいかない。

余人を持って代えがたいことを行うことが、集団のためになるという自覚を持とうと思います。

 

普段は活躍の機会が少なくとも、良いのだと思います。

斉の孟嘗君が幽閉されたときに、鶏のモノマネがうまい人のおかげで逃げられたという有名な話の、「鶏のモノマネがうまい人」を目指したいところ。

その視座が、格付けシステムの偏愛という刷り込まれた無意識への対抗手段になると信じています。

 

内田樹先生が進める100年後も読まれてほしい本3冊

最後に、内田樹先生が進める100年後も読まれてほしい本3冊を紹介します。

良い本というのは、次の良い本との出会いを導いてくれる…という言葉があります(今私が作った言葉ですw)

 

1冊目はミシェル・ウェルベックの「服従」

1冊目はミシェル・ウェルベックの「服従」です。

政治的混乱の中でムスリムの大東力が登場し、急激にイスラーム化していくフランス社会を描く近未来小説です。

 

2冊目はフィリップ・ロスの「プロット・アゲンスト・アメリカ」

2冊目はフィリップ・ロスの「プロット・アゲンスト・アメリカ」です。

1940年の大統領選で民主党のローズヴェルトを共和党のチャールズ・リンドバーグが破り、親し独派の大東力が登場する近過去小説です。

 

3冊目は村上春樹の「1Q84」

3冊目は村上春樹の「1Q84」です。

いわずもがな、1984年のもう一つの日本を描いています。

 

以上、『内田樹「常識的で何か問題でも?反文学的時代のマインドセット」感想書評』でした。

内田先生の小気味よくも鋭いエッセイを読みたい方はどうぞ。

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