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映画『ジョーカー(Joker)』が面白い。あらすじ・ネタバレ感想・テーマ考察

映画『ジョーカー(Joker)』が面白い。あらすじ・ネタバレ感想・テーマ考察

映画『ジョーカー(Joker)』について

を語ります。この作品のスゴさを分析しました。

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映画「ジョーカー(Joker)」とは?あらすじまとめ

映画「ジョーカー」概要

映画「ジョーカー(Joker)」は、バットマンシリーズの悪役(ヴィラン)であるジョーカーが主人公の物語。

一人の不幸な男「アーサー」が「ジョーカー」になるまでを描いた作品です。

 

第76回ヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる「金獅子賞」を獲得。

主演男優の怪演を見るに「アカデミー主演男優賞」「アカデミー監督賞」などを摂る可能性が充分にある作品ですね。

監督:トッド・フィリップス
脚本:トッド・フィリップス
制作:ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ
音楽:ヒドゥル・グドナドッティル
キャスト:ホアキン・フェニックス、 ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツら
上映時間:122分
日本公開:2019年10月04日
配給:ワーナー・ブラザース

 

映画「ジョーカー」あらすじ

映画「ジョーカー」あらすじは以下のとおり

「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。
都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに密かな好意を抱いている。笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、狂気あふれる〈悪のカリスマ〉ジョーカーに変貌したのか?
切なくも衝撃の真実が明かされる!

公式HP

※先にテーマ考察(ネタバレ)を見る方はこちらから。

 

ジョーカーになる前の主人公「アーサー」は皆を笑わせる・楽しませる「コメディアン」を夢見ています。

貧乏な中、母親の介護もしていますし、非常に心優しい男なんですね。

ピエロの派遣会社で働いていて、ジョークを言ってもなかなか受けないですが、小児病棟などでは笑い(笑顔)をとることはできる。

 

彼には「笑ってはいけない場面で、ついつい笑ってしまう」という持病があります。

それが原因で、会社の同僚には疎まれ、おそらく友人もいない。周囲の人には気味悪がられているんですね。

で、その病気を止める(笑いを止める)には薬が必要。

 

アーサーが住むのは、バットマンシリーズでおなじみの町「ゴッサム・シティ」は、腐敗した町です。

町の方針で福祉にお金をかけられないということが決まり、彼は薬を得られなくなる。

そんな矢先、母親もふとしたことから入院し、仕事も首になるという不幸が重なります。

 

彼は会社の同僚からもらった銃を使って…という話。

アーサーは銃で証券マン3人を衝動的に殺してしまいます。

警察に追われつつも、自身の父親らしき政治家のウェインに会いに行く。

※バットマンの父親の政治家ですね(バットマンはブルース・ウェイン)

 

しかしウェインが父親ではないことが判明。

すべては母親の妄想だった。

 

アーサーは母親を殺害し、「ジョーカー」の格好をして、呼ばれたコメディ番組に登場。

司会者を銃殺し、警察に捕まる。

ジョーカーの行動も相まって、町中の人は暴徒化し、ゴッサムシティは火につつまれる。

 

そしてアーサーは精神病院に入れられる、、、という結末。

 

監督は「ハングオーバー!」のトッド・フィリップス

監督はコメディ映画「ハングオーバー!」の監督で知られるトッド・フィリップス。

コメディの名手が手掛けた結果、「笑い」と「狂気」は紙一重ということがよく分かる一作となっています。

 

主演は3度のアカデミー賞男優賞ノミネートを誇るホアキン・フェニックス

主演は3度のアカデミー賞男優賞ノミネートを誇るホアキン・フェニックスです。

とにかく彼の怪演が光る一作です。

 

ちなみに過去の「ジョーカー映画」の名作である「ダークナイト」。

このときの主演の男性ヒース・レジャーさんは死亡しています。

というのも、ジョーカーという役を演じるあまり、実際に本人も精神がどんどんおかしくなってしまったから。

 

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ジョーカーのテーマ考察(ネタバレ)

以下、ネタバレですのでご注意ください。

貧困と格差がある現代社会

心優しく、慎ましく生きているアーサー。

彼を支える福祉(セーフティネット)がなくなり、富裕層(上級国民)は映画を見て笑うだけである。

これが一種の社会批判になっています。

 

アーサーは、母親の言葉をずっと信じて、政治家のウェインを希望の対象と思っていた。

正義の味方であり、自分を救ってくれると。

しかしウェインは、アーサーが起こした事件を見て「貧困な人々は社会の負け組。ピエロの仮面をかぶらないと犯罪もおかせない臆病者」と語ります。

 

「狂っているのは自分か、世界か」と冒頭で問いかけがあるように、この格差社会そのものが間違えている、おかしいとしたら、それって壊れていいよね?

というのが視聴者の無意識に埋め込まれる仕組みです。

現代日本が今よりも不況になったとき、このテーマがより如実に浮かび上がる気がします。

自分の中にいるジョーカーを肯定してもいいんじゃないか、と。

 

誰の心のなかにもジョーカーはいる

誰の心のなかにもジョーカー的な存在がいるんですよね。

 

で、この作品の恐ろしいところは、ジョーカーについつい感情移入しそうになるところです。

ジョーカーの貧困な状況、虐げられる状況。

ゴッサムシティの腐敗と、政治不信。

 

それらの救いようのない状況から、ついつい弱者の側であるアーサーに自己投影してしまう作りになっています。

しかし、徐々に「アーサーのヤバさ、狂気」が見えてきて、視聴者として彼を客観的に見られるようになっていく。

とそこで、アーサーが「本当の自分はこれだったんだ」と語るところから、

自分のほんとうの気持ちはなんだろう?

自分は素直に生きているのだろうか?

と心揺さぶられるんですね。

 

物語の最後。

アーサーがコメディーショーの司会者を殺し、捕まります。

その際の街の描写が秀逸。

暴徒がゴッサムシティを火まつりにして、暴れているのですが、映像美もあいまって、なんともいえないカタルシスになります。

アーサーはその光景を本当に「美しい」と思っていたでしょう。

 

そして、事故にあって気を失っていたアーサーが生き返り、周囲から大歓声を浴びるシーン。

これこそ彼が思い描いてたものであり、ずっと認められたい、誰かに自分を見て欲しいと思っていた彼の願いが、いびつながらもかなったシーンなんですよね。

ここにきてアーサーの気持ちが少しわかる。

わかってしまう。

そこにこの映画のスゴさ、そして恐ろしさがあるのだと思います。

 

この作品を見た後のなんともいえない感覚の正体はなにか?

  • アーサーがかわいそうだった
  • 悪に落ちるのはダメだ
  • 上級国民(社会の上位層)許さない!

などのシンプルな感想が、いだきにくいところだと思うんですよね。

 

つまり、自分の中にいるジョーカーを無意識に感じる。

だからこそ、見終わった後の「言葉にならない感じ」があるのだと思います。

 

チャップリン「人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇」

作中にチャップリンの映画が映っていましたね。

また、近代社会を描いた作品「モダンタイムズ」のテーマ局「Smile」も何度も作中で使われていました。

 

「モダンタイムズ」は貧困層の労働者が工場で働くけどなにをやってもうまくいかない。

結果、精神が壊れてしまうというのを、コメディとして描く名作です。

そう、悲劇なんですけど、喜劇なんですよね、これ。

というか、ジョーカーと状況が非常に似ています。

 

で、さらにチャップリンの名言

「人生は近くで見ると悲劇だが、 遠くから見れば喜劇」

に近い言葉もでてきましたね。

 

アーサーはジョーカーとなった後に

「人生はずっと悲劇だと思っていた。でも外から見れば喜劇なんだよな」

「主観で見れば喜劇だ」

ということを語っていました。

 

実際、映画内では、彼がジョーカーになった瞬間から、それまでのおどろおどろしい音楽が反転。

一気に明るい音楽が流れ、お立ち台から降りる彼の姿はなんとも晴れやか。

 

で、これってチャップリンが「悲劇を喜劇」に見せたのと逆。

ジョーカーという作品は「喜劇が悲劇」に見えるんですよね。

 

ジョーカーからすれば「悲劇に思えていた人生は、実は喜劇だった」という主観。

しかし、それを更に外側から見ている我々からすると、それは「悲劇」だよね、と感じてしまう。

この構造が非常に面白い。

 

ジョーカーの面白い部分の感想(ネタバレ)

土台がグラグラ揺れる感じ(妄想が連発する)

この作品のエンターテイメントとして面白いところは、主人公アーサーの見えていた世界にトリックがあるところですね。

つまり、アーサーは妄想をしていた、ということが分かり、見えていたシーンが嘘だったと分かる。

 

同じマンションに住む女性とは何も関係がなかったこと。

母親とウェインの子どもかもしれない?と思いきや、妄想だったこと。

 

そうやって、自分を支えていた「何か確からしいもの」が音を立てて壊れていく感じを疑似体験できるんですよね。

それがあるから、

  • そもそも全てはアーサーの妄想だったんじゃないか?
  • コメディショーに呼ばれたのすら妄想だったのでは?

とついつい思ってしまったり。

不穏な音楽と相まって、作品の土台がグラグラ揺れる感じが見ていて堪らなかったです。

 

僕らの中に潜む悪意と、消費税増税の今公開されることの意味

日本で「消費税」が増税された10月。

この作品は公開されました。

今後確実に不景気になる時代に、このゴッサムシティの「悪」と行き場のない「不満」を見ると、なんとも言えない気持ちになります。

結局、人々の暮らしは貧しく、日常には悪意が溢れ、一方で上級国民たちは良い暮らしをしている。

 

そんなことを無意識に思っている中で、この作品最後の「暴徒たちが町を壊す」が妙に爽快です。

ジョーカーという作品を通じて「悪はいけないことだ」ということはよく分かりつつも、いつの間にかジョーカーに心を奪われた我々は、その光景にどこかカタルシスというか、なんともいえない良さを感じるんですよね。

 

もちろん、理性の上では「町を壊すのはダメだし、テロもダメだ」ということはわかっている。

ただジョーカーが語るように「本当の自分はこういうものだ」という気持ちもどこかにある。

つまり、感情の奥底には自分にも「ジョーカー的なもの」があるんじゃないか、とゾッとするわけですよ。

 

アーサー(ジョーカー)の人生を想像する

アーサーは最初、弱いものとして描かれます。

同僚には嫌がらせをされますし、上司には疎まれる。

不良少年たちにボコボコにされるし、カウンセラーは自分の話をまともに聞いてくれない。

 

彼は小児病院に銃を持っていったことで、仕事をクビになるわけですが、それまで何か悪いことをしていのだろうか?とつい思ってしまいます。

そもそも、小児病棟では、彼は笑いをとれていたというか仕事をできていたわけですし、母親の介護もしていた、と。

つまり、彼自信はもともと「優しい人」ということが描かれています。

 

一方で、同じマンションに住む女性をストーカーしたりと、狂気の面、悪い一面も確かに持っている。

一方で、直接的な告白などはできなかった(妄想だった)というところから、彼の弱さ、自信のなさが浮かび上がります。

というのも「チック症」みたいな笑いで、社会生活を送るのが大変難しかっただろうと思うんですよね。

 

友達はいない。

同僚にも疎まれる。

上司にもバカにされる。

 

彼のこれまでの人生を想像するとなかなかに悲惨です。

まともな仕事にはつけないでしょうし、まともな人間関係はつくれなかっただろう、と。

 

ジョーカーの分かりづらいところを解説

アーサーと母親はどこまでが妄想か問題

私の解釈ですが

  • アーサーがフランクリン番組にでていたこと→妄想
  • 母親がウェインと付き合っていたこと→本当
  • 母親とウェインの間の子どもがアーサー→妄想
  • アーサーが虐待されていたこと→本当
  • アーサーがストーカーしていたこと→本当
  • アーサーが付き合っていたこと→妄想

 

アーサーと母親がテレビを見ている時に「アーサーがフランクリンの番組に出演する」ようなシーンがアーサーの妄想というのはわかりづらかったですね。

彼の希望

  • 自分の愛しているという発言を受け入れてくれる
  • 自分の「笑い」も受け入れてくれる
  • すべてを捨ててでも「君を息子にしたい」と言ってくれる

が詰まっていたということ。

 

アーサーが母親を殺した理由は?

自分を騙していたというのもそうですが、アーサーが笑う病気になったのは、虐待のせいなんですよね。

過去の新聞に「頭の大怪我」というのがありましたけど、あれが直接の原因でしょう。

 

なぜ小人病の元同僚は許された?

ここまでさんざん書いていますが、アーサー自身はもともとは心優しい人間なんですよね。

で、小人病の元同僚に対しては、優しくしてもらっていた。

※虐げられるひとの気持ちがわかっていたということかもしれません

 

例えば、彼が「小人ネタ」で馬鹿にされる時も、アーサーは「病気のほうの笑い」をしていました。

これは、彼がそのネタを笑ってはいけないと考えていたということ。

つまり、もともと悪い感情は持っていなかった。

 

アーサーからすると彼は数少ない「友人」だったんですよね。

 

ウェインってそもそも誰?あの子どもは誰?

これはバットマンシリーズを見ていないとわからないと思います。

政治家のウェインは、大金持ちでしたよね。

で、政治家ウェインの息子「ブルース・ウェイン」が途中に出てきましたよね。

彼は、後のバットマンです。

>参考解説

 

で、物語最後の暴動が起きた日は、ウェイン夫妻は殺されて、ブルースウェインが一人残されました。

つまりこれは、

アーサーがジョーカーとして目覚めた日でありながら、

ブルース・ウェインがバットマンになるキッカケの日でもあった…

という描写ですね。

 

映画「ジョーカー」誕生に影響を与えたキング・オブ・コメディとタクシードライバー

映画「ジョーカー」誕生に影響を与えた映画は主に3つ。

  1. キング・オブ・コメディ
  2. モダンタイムズ
  3. タクシードライバー

傑作カルトコメディ『キング・オブ・コメディ』。

ロバート・デ・ニーロ演じるコメディアンの卵ルパート・パプキンが、尊敬する人気コメディアン「ジェリー・ラングフォード」と出会う。誇大妄想の中で、徐々に狂い、そして凶行に及ぶ物語。

この作品の「笑いと狂気」が近しくも表裏一体というテーマは大きな影響を与えていますね。

 

古典コメディ『モダンタイムズ』。

チャップリンが近代社会を痛烈に批判する作品。工場で働く男は、要領が悪くうまくいかないことばかり。それでも社会はそんな彼に仕事をさせようとして、彼は徐々に狂っていく。

ウェインに会いに忍び込んだアーサー(ジョーカー)が見た映画がこれ。先述の通り「人生は喜劇」という言葉もここからきています。

 

名作『タクシードライバー』。

主人公トラヴィスは低賃金のタクシードライバーをしつつ、世の中を憂う。ある日、堕落した世の中をクリーンにしてあやると思ったトラヴィスは、モヒカン・サングラスにイメチェンする。そして、大統領候補の政治家の暗殺を企てる。

この作品も、監督自身が影響を受けたと語っていますし、見終わった後の「なんともいえない感じ」が近しい。

この映画を見ると、ジョーカーがより深く楽しめるので、是非見ておきましょう。

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まとめ:ジョーカーは今見るべき映画

ハッキリ言って、ジョーカーを見ても良い気持ちにはなりません。

なんとも言えない気持ちで終わるはず。

それはきっと、自分の中にあるジョーカー的なものに気づいたからだと思います。

 

なんとなく世界情勢が悪くなりそうな予感と、閉塞感のある日常。

そういった現代だからこそ、見る価値がある作品だなと思います。

 

自分でもまだ咀嚼しきれていない作品です。

見終わった後の、なんとも言えない感じを持っている方、コメント待ってます。

2 COMMENTS

nununi

非常にわかりやすい解説ありがとうございます。ペニーがウェインと付き合っているのは本当だったのですね。写真の裏にいい笑顔だ、T.Wと書いてあったのでずっと引っかかっていました。ありがとうございました

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アルパカ

作品としては
 1.作品全体がジョーク(アーサーの妄想)
 2.あの写真は存在しない(アーサーの妄想)
 3.あの写真は存在する
の3種類の可能性があるのですが、実際にはどれか分かりません。
1番目の関係を除けば、男女関係があったことは間違いないですね!

こちらのYoutube動画が参考になると思います!
https://www.youtube.com/watch?v=ZFxGGQ1s124&t=55s

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